2012年12月1日土曜日

12/1 かまいしお茶っこ寄席~スタッフ便り

前日に引き続き、六華亭遊花さん、えり奈さんとともに釜石市内で公演を行いました。
午前中は、虎舞保存連合会の岩間さんのご協力により、釜石市内の仮設集会場2か所で実施しました。

うかがった区域は高台のため津波の被害は免れたものの、孤立した集落となっていました。数メートル離れた場所は被害が大きく、この日も朝から建物の取り壊し作業が進められていました。


ご年配の方も多く、なかなか外に出ることがなくなったというお話しを聞きましたが、開始時間が近づくと次から次へとお客様が。お茶っこもわいわいとお話が尽きません。
集会場には着替えられる場所がないということで、急遽近くのお宅の一室をお借りさせていただききました。どうぞどうぞと迎えてくださる皆さんのお心遣いに、胸がじんわりとあたたかくなりました。

遊花さんの落語も、えり奈さんの津軽三味線も、表情や響きを間近で感じることができ、たくさんの拍手をいただきました。短い時間ではありましたが楽しんでいただけたかな、と嬉しく思います。ありがとうございました!


お昼は釜石駅の近くの仮設商店街にある釜石ラーメン『こんとき』さんでいただきました。10月に東京で行われた、東京ラーメンショー2012にも出店なさっていたんだそうです。本当に本当に美味しくて、元気になりました!

そして午後には、市の教育委員会のご協力で公民館で公演を実施しました。お子様からご年配の方まで幅広い年代の方が足を運んでくださり、満員御礼。




落語と津軽三味線の魅力を伝えるとともに、たくさんの方々とお話しできて、本当にいい時間を過ごすことができました。皆さんの心にも残る、あたたかい時間になったとしたらとても嬉しいです。

2012年11月30日金曜日

11/30 かまいしお茶っこ寄席~スタッフ便り

岩手県釜石市にて実施している『かまいしお茶っこ寄席』。アットマークリアスNPOサポートセンターに協力して、11月8日・9日、11月14日に続き3回目となる今回は、大槌町の仮設住宅に伺いました。沿岸部は雪はないものの、朝からグッと冷え込み、冬らしくなっていました。

今回の出演者は、六華亭遊花さん(落語)と、えり奈さん(津軽三味線)。
お二人とも東北のご出身です。

この日は午前・午後と2か所で公演を行いましたが、大入り!とスタッフも驚くほど、どちらの回ともたくさんの方が来てくださいました。
まずは、キュウリのお漬物などをつまみながら、六華亭遊花さんも一緒にお茶っこです。久しぶりと声をかけあいながら、同じテーブルについた人どうしでわいわいとお話がすすみます。こうして集まって、みんなの顔を見ながら話をする時間はとても大切だと感じました。


いよいよ演目が始まると、一瞬で会場の雰囲気が変わります。
六華亭遊花さんは東北弁で落語をなさるのですが、ご出身が遠野ということで親近感も沸いて、皆さん大喜び。地元ならではのネタもあり、うんうんと皆さん大きく頷きながら終始声をあげて笑いっぱなしでした。

えり奈さんの津軽三味線では、時代を追いながらの曲構成で、じょんから節も時代によって随分と曲調が違うのだと知りました。津軽三味線の歴史を織り交ぜながらのお話を「へえ~」と感心しながら笑顔で聞いていた皆さんですが、えり奈さんが静かに目を閉じ演奏を始めると、魂をこめて鳴らすその力強く響く音に、涙をぬぐいながら聞き入っていました。

 


仮設住宅も、世帯数が多い地区から数軒しかないところまで、規模は様々です。まだまだ先の見えない不安を持った方もたくさんいらっしゃいます。それでも、こうしてみんなで集まって、笑いあえる時間を大切に。そうした場づくりのために、芸団協が協力できることを考えてゆきます。
遊花さん、えり奈さん、アットマークリアスNPOサポートセンターの皆様、ご協力くださった公益社団法人落語芸術協会・仙台事務所の白津さん、ありがとうございました!

余談ですが、昼食は近くの復興商店街にあるお店『ミカドン』さんでいただきました。お店に入るとカウンターが…と思いきや、これは屋台!?
このお店も津波ですべてを失い、それでもご夫婦で力を合わせて屋台という形でお店を再開したのだそうです。この商店街での営業が始まってからも、屋台を作ってくれた方々をはじめ協力してくださった皆さんへの感謝を忘れないためにもと、店内にそのまま屋台を入れてしまったのだとか。ここまで一緒に頑張ってきたこの屋台が、家族のように愛おしいと仰っていました。美味しいお食事、ごちそうさまでした。


2012年11月25日日曜日

女川町民が主役・・・のど自慢大会も、復興も

震災で大変な被害を被った女川町。昨年は船着き場も地盤沈下で船がつけられない状態でしたが、港の改修が進んで漁船が荷揚げできるようになっています。平地には、まだ津波の痕跡の残る横倒しの建物がそのままになっていますが、大部分は更地になっていました。以前は、町をあげてのカラオケ大会が開かれていたそうですが、震災後、そのような催しはなくなっており、町民が参加できるイベントがやりたいというお声をきいて、女川町と女川町教育委員会、そして芸団協も共同主催として企画にかかわり、初めて紅白対抗歌合戦の形式でのど自慢大会を開催することになりました。


会場となった小学校の体育館は、修繕工事が間に合わず、窓ガラスが入っていないところを天幕で覆っての使用。したがって外気が否応なく入ってきます。大型ストーブを借りられるだけ借りてきて温め、ひざ掛けや携帯カイロを配ったりという準備が必要でした。当日は朝の八時半から、出場者たちはリハーサル開始。寒い会場でどうなることかと心配されましたが、いざのど自慢が始まってみると、町民のみなさんの熱意で、胸が熱くなる大会となりました。

呼び戻せ女川の笑顔!「女川町のど自慢大会~おらだづ歌自慢」と題し、冒頭で、特別応援演舞として、実業団による女川獅子舞が披露されました。津波で獅子頭、太鼓、笛、衣裳などの道具はもとより、仲間も流されて一時は女川の獅子舞は終わったかと思われたそうですが、財団等の支援をうけて、道具が揃えられお揃いの新品の法被をきた地元実業団のみなさんが、女川の獅子舞を復活させました。力強い太鼓と笛の音、勇壮な獅子舞に場内のみなさんは食い入るように見入っていました。



いよいよ紅白に別れて7組ずつ14組の出場者たちが檀上に揃います。司会を務めたのは、TBC東北放送の渡辺敏之さんと落語家の六華亭遊花さん。司会のふたりが「仮装大会じゃないよね」というくらい、衣裳や扮装にも凝った出場者もいます。予選を通ってきた方々だけに、みなさん歌は上手い! しかし、歌った後、今回みんなの前で歌いたいと思った理由を一言ずつ伺っていくと、お一人お一人が震災後のそれぞれのドラマを乗り越えてここに立ち、女川を元気にしたいという思いであふれていることが伝わってきます。

最年少は7歳の男の子、最高齢は84歳の女性。ずっと地元で暮らしている方だけでなく、ボランティアで訪れて女川に就職した人や、東京の大学を休学して地元の子どもたちの学習支援NPOで活動している学生など、いろいろな方がいます。そして、紅組の応援団、女川福幸丸と、白組応援団、商工会青年部の扇動で、客席は赤や白のタオルをふりふり応援します。商工会青年部は、女川のご当地ヒーロー、正義の味方イーガーに扮しての応援でした。出場者として、応援団として、女川を支えようとしている若者たちの姿がまぶしかったです。


 
14組が歌い終わった後は、ゲスト審査員のさとう宗幸さん、藍美代子さん、ヨシヒデさんのプロの歌手による歌。そして審査を経て、協賛各社・各団体から送られた賞の授与が行われました。優勝したのは紅組でしたが、勝敗ではなく、客席も含めて町民全員が主役となってつくりあげた大イベントでした。

最後に、さとう宗幸さんらのリードで「花はさく」を会場全体で合唱し、女川の復興に向けて、万歳三唱してお開きとなりました。町民の結束と、復興への意欲を確認しあったのど自慢大会。そんな会の実現に協力できて、芸団協スタッフ一同は、外気の寒さとは逆にあったかい思いとともに帰京しました。

 

2012年11月14日水曜日

11/14 かまいしお茶っこ寄席~スタッフ便り

今月はアットマークリアスNPOサポトセンターに協力して、釜石市の仮設住宅の集会所に3回にわけてうかがいます。先週の8、9日に引き続き、2回目の初日は快晴!でも、気温はぐっと下がっています。

午前、午後、2つの仮設住宅を訪れましたが、どちらもクラウンのびり&ブッチィーさんのコミカルな仕草やトーク、ジン・マサフスキーさんの目を見張るマジックに、会場は拍手と笑顔が溢れていました。




 
公演の合間に、お昼は仮設商店街のお店へ。
お店のおかみさんは、郷土料理研究会をやっていて、午後うかがう予定だった仮設住宅にも去年は何度か仲間で差し入れに行っていたとか。ある日、みんなに食べてもらっている中、まったく手をつけず、持ち帰ったお母さんがいて、「口にあわなかったのかなぁ」と思っていたら、お子さんが津波で流されてしまったため、この美味しい料理を食べさせてあげたいと、仏壇に供えられていたそうです。
「みんな喜んで迎えてくれるから、がんばってきてください」と見送ってくださいました。

そうしてうかがった先では、自治会長さんが「みんな明るく見えるけど、心の中は不安だらけなんだよ」と。出演者のみなさんも、これまでは大きな会場での公演が多かったようで、被災地で暮らすみなさんの姿を間近に見て、震災の被害の大きさを再認識されたようです。こういった機会にこれてよかった、みなさんに喜んでもらえてよかった、と繰り返しおっしゃっていました。



 

2012年11月10日土曜日

11/10 小名浜寄席(第5回)〜スタッフ便り

小名浜寄席、7月から月に1回第2土曜日に開催して、今年度は5回目となりました!

泉駅で噺家さんと待ち合わせをしていたところ、同じ電車に乗っているはずが、姿がみえない。。慌てて電話をすると、隣の駅についてしまったとのこと。運よく数分後に上りが来たため、ことなきを得ましたが、冷や汗をかきました。それもこれも、ネタになっていましたが。

駅から会場に向かう途中、「この地域には、『うだつがあがらない』の語源になっている、うだつがあるんだよ。」と、小名浜まちづくり市民会議の方が教えてくれました。写真左の家屋から張り出すように薄い壁と屋根をプラスしてあるのが、「うだつ」です。もともと防火壁としてつくられていたものが、江戸時代に装飾的意味合いが強くなったそうです。立派な蔵も残っていました。

小名浜は海がすぐそこなので、もちろん津波の被害も受けていますが、かつて建物があった場所が基礎だけになってしまったところと、浸水したものの全壊には至らなかったところが混在しています。前後の建物や流されて来たものの配置で水のひく道や強さが大きく変わったそうです。


会場の小名浜美食ホテルには、東京から車でいらっしゃった日本サロンコンサート協会のみなさんが先に到着されていて、早速ステージのセッティング確認。落語のための高座もつくられているので、キーボードをどこに置こうか、ヴァイオリンとクラリネットの配置をどうするか。決まったら音だしをして音響チェック。

同じ敷地内で福島の美味しいもの 食のフェアが開催されていたため、駐車場も満杯で、多くの人で賑わっていたので、素敵な音色が流れてくると、お客さんがどんどん集まってきました。「13時から本番です!落語と音楽のステージがあります。」とスタッフはチラシを配って回ります。

いよいよ、本番開始。
三遊亭遊喜師匠の「いつもこの寄席に来てる方いらっしゃいますか?」という呼びかけに、お一人手があがりました。生で落語をきくのが初めての方も多く、まくらで落語のイロハも交えつつ、本日のネタは「初天神」。子どもが飴をしゃぶりまわす様子など表情や音も絶妙で、みなさん師匠から目も耳も離せず、笑いの絶えない一席となりました。

続いて、日本サロンコンサート協会より、ヴァイオリン(クロード・小林さん)、クラリネット(新村尚子さん)、ピアノ(川村紀子さん)の演奏。トリッチ・トラッチ・ポルカ、天国と地獄などクラシックの名曲やミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」や「王様と私」から、お話を交えた親しみやすいコンサートにみなさん大喜び。小さなお子さんもふと足を止めて、初めは横からみていたのが、正面に移動して目を輝かせていました。


約1時間後には、お隣のいわき・ら・ら・ミュウでの公演なので、機材を移動させ、セッティング。出演者の方々には、休憩と遅いお昼をとっていただきましたが、スタッフは少しでも多くの方にステージを楽しんでいただけるように、チラシを配って、声をかけて回ります。ツアーで来ていた人は、「もう集合時間だからいかなきゃ」と残念そうに去られる方も。

15時に開演すると、遊喜師匠はまた会場をあっためて、「時そば」を。あのおそばを食べる音と表情、銭を数える様子がなんともいえません。会場にいた方から、「孫がとっても感激してサインがほしいと待っているのだけど、お願いできないかしら?」と。小学3年生のかわいらしい女の子がはにかみながら、紙とペンを手にしていました。

後半の日本サロンコンサート協会の演奏も大盛り上がりで、最前列に座っていた平(いわき市)からいらっしゃったお二人は、終演後も興奮冷めやらぬ様子で、「懐かしい曲もあって嬉しくて、胸のつかえがすっきりした気がします。音楽は好きだけど、なかなか生ではきけないから、ほんとによかったです。」と出演者にも感謝の言葉をかけられていました。


ライブパフォーマンスを間近にして、ご来場のみなさんそれぞれが、何かを感じた時間となったようです。またそういった機会を広げていっていただけるといいな、と思います。そして、この小名浜寄席のファン、リピーターや次は行いきたいと思ってただける方を1人でも2人でも増やしていきたいです。出演者の方々、会場の方々、ありがとうございました!

小名浜寄席、次回は12月8日、13時から美食ホテル、15時から ら・ら・ミュウで開催します。

2012年11月9日金曜日

11/9、10 岩手県葛巻町、一戸町~スタッフ便り

11月9日葛巻町総合センター、10日一戸町萬代館(昼夜公演)にて桂平治改メ十一代目桂文治襲名披露公演が2箇所で開催され、芸団協・震災復興プロジェクトも協力させて頂きました。

出演は、桂文治師匠をはじめ、桂米助師匠、桂小文治師匠、柳家小蝠さん、林家花さんなど豪華な顔ぶれ。今回は襲名披露公演とあって、お囃子(三味線、太鼓など)も生演奏。
ちょうど寒くなった時期でもあり両会場とも、ストーブが大活躍!
会場は満席で、最初から最後まで爆笑の渦でした。

※城下子(ジョーカーズ)とは:葛巻町内の3自治会(城内小路・下町町内会・田子自治会)の文字を取ったものです。

※萬代館:創業は明治42年。芝居小屋として蔵を改造して始められ、旅芸人一座、演芸、映画上映などを行ってきた。現在までに幾多の改築・改修工事を経て、現在は町によって管理されている。最近ではJAZZなどの音楽イベント、寄席、映画祭などが開催されている。