震災から1年の3月11日、芸能花伝舎で「復興へ想いを馳せて~追悼、そして新たな1
年へ~」の集いを実施しました。風が強く、予定していたキャンドルナイトは、校庭で実施することは諦めざるを得ませんでしたが、約80名の方々がキャンドルケースに想いを描きこんでくださったものをG棟の入り口に並べ、祈りの空間ができていました。
会場となったG-2のスペースでは、冒頭、尺八のブルース・ヒューバナー氏と波紋音の永田砂知子氏による追悼演奏が行われ、厳粛なムードに包まれるなか、参加者全員による黙祷と大林丈史専務理事による献杯で幕をあけました。
集いには60名余の方々がご参加くださいました。落語芸術協会より提供された東北三県からの日本酒と漬物が参加者へ振舞われ、和やかな雰囲気の中、芸団協が今年度おこなってきた「震災に文化芸術を!プロジェクト」の活動報告を行い、岩手県で実演家と被災地をつなぐ活動をしてくださった遠野まごころネットの方から、被災地の状況やボランティア活動の実状についてお話しいただきました。
そして、ヒューバナー氏が、福島県川内村の自然を写したスライドを見せながら、どんな想いで支援コンサートを始めたか、福島に住む友人たちの代弁者として、できる限りの活動をしたいと発言されていました。 さらに、東北地域での復興支援活動にたびたび同行している田澤常任理事からは、来年度以降も復興支援活動は続けていくという決意表明と、引き続きのご支援の依頼がなされました。
参加者の中には、花伝舎の近隣にお住まいの淀橋町会の方々が多くいらっしゃいましたが、町会の防災担当と会長のご両名から、街の活性化と防災の観点からも芸能花伝舎の日頃の活動に対し感謝していると労いのお言葉を頂戴し、今後もチャリティ活動で協力していきたいとのことでした。
最後に、野村萬会長が、世阿弥の「衆人愛敬」という言葉をひいて、芸能というものはすべからく、多くの人に愛されなければならないということが600年以上前から言われており、被災地にあっても、ちゃんと受け入れられる活動であるよう心掛けなければならないという心構えに触れ、このような震災復興の取組みを、ちゃんと「伝承」していくべきという姿勢を示して閉会の辞としました。
閉会後も、演奏家を取り囲み、遠野まごころネットのボランティアの方々が談笑したり、芸能実演家や芸術団体と町会の方々が、交流を深めていらっしゃいました。「文化」を媒介にしたつながりが、西新宿から岩手まで続いていくのが見えたような一夜でした。